
性的マイノリティとされるLGBTの「G」の部分に当たるのは、Gay(ゲイ)です。
「ゲイ」とは「同性愛者の男性」のことを言います。
テレビなどで「オネエ」として取り上げられることもありますが、オネエのような女性的な人ばかりがゲイなのではありません。
間違ったイメージ像にとらわれ「男性なのに、男性が好きな自分はホモなのだろうか・・・」「女性にならなければいけないのだろうか・・・」と悩んでいる人もいます。
このページでは「ゲイ」の意味について説明し、一言でゲイと言っても様々な人がいること、ゲイでも仲間や恋人と出会い、幸せに暮らしていくことができるということも伝えていきます。
「ゲイ」とは、男性同性愛者のことです。もう少し説明すると「自分を男性だと感じていて、男性として男性のことを好きになったり、性的な欲求を持ったりする人」のことです。
なぜここで「自分を男性だと感じていて」「男性として」という部分が入っているかというと、「自分の感じている性別」と「好きになる相手の性別(性的指向という)」のどちらもが男性の場合が「ゲイ」だということになるからです。
実は、性別には「持って生まれた体の性別(身体的性別)」と「自分が心で感じている性別(性自認)」というものがあります。
一般的に身体的性別と性自認は同じであることが多いので、生まれたときの性別がその人の性別で間違いがないと思われていますが、この2つが異なっている場合は「トランスジェンダー」と呼ばれます。トランスジェンダーとは「生まれた時の性別と、自分自身が心で感じている性別や生きていきたい性別が違っている人」のことで、トランスジェンダーの人々にとっては、心で感じている性別が本当の性別です。
それに対して、生まれた時の性別と感じている性別が一致している人を「シスジェンダー」と言います。
例えば、
・男性として生まれてきたけれど、自分のことを女性だと感じている。そして男性が好き
→本当は女性なので「ゲイ」ではなく「トランスジェンダー女性で異性愛者」
・男性として生まれて、自分でも男性だと感じている。そして男性が好き
→「シスジェンダーのゲイ」
反対に、
・女性として生まれてきたけれど、自分のことを男性だと感じている。そして男性が好き
→本当は男性なので、「トランスジェンダー男性でゲイ」
ということになります。
「同性を好きになること」と「自分の性別をどう感じているか」は切り離して考える必要があるのです。そして、どのケースもおかしいことではありません。
ただ、人の性のあり方はグラデーションのようなもので、はっきりと分けられない人もいますし、分けられなくても大丈夫なのです。(「LGBTとは?」を参照)
ゲイは時として「ホモ」と呼ばれる場合もありますが、「ホモ」という言葉は「ホモセクシュアル」の略で、男女の性別に関係なく同性愛者のことを指します。なので、実は「ゲイ」も「レズビアン」も「ホモセクシュアル」と言うことになるのです。(「ホモセクシュアル」に対し、異性愛者のことを「ヘテロセクシュアル」と言います)
日本では男性の同性愛者を指して「ホモ」ということが多かったのですが、「ホモ」という言葉は、相手をバカにしたり見下したりするときに使われることが多いため、相手を傷つけてしまうことがありますので気をつける必要があります。(本人が自称で使う場合もあるのですが、他の人が呼ぶときは、そう呼ばれてもOKかどうかは一人ひとり違うので相手に確認した方が良いです。基本的には大半の人が傷つく言葉です。)
よく勘違いされる例として「ゲイの人はみんな女性的なんでしょ?」といった質問があります。「オネエ」と呼ばれる人たちは、女性的な服装や言葉遣い、仕草をしていますが、必ずしもゲイはみんな女性的なわけではありません。
ゲイの中には、男性的な外見の人もいれば、女性的、中性的な外見の人もいます。「男性として男性を好きになること」と「どのような見かけや振る舞いをするか」は関係ないからです。
例えば、異性愛者の男性の中にも、男性的な人もいれば中性的な人もいますよね。
同じように「ゲイ」であっても、一人ひとりそれぞれ違っているのです。
ポイントは、見た目に関係なく「男性として男性を好きになる人」がゲイということです。
同性愛であることに悩み、どうにか治せないかと考える人もいるかと思います。
ですが、同性愛は病気ではありません。
かつて、同性愛を「異常」と見なし、同性愛者を電気ショックや手術、薬物などで異性愛者に変える治療をしていた時代もありました。しかし、どれも全て失敗し、「同性愛は治療で治せるものではない」ということが明らかになっています。
米国精神医学会やWHO(世界保健機関)の基準でも「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とはならない」という見解が発表されていて、国際的に同性愛は異常ではないことが示されています。
その後、日本でも厚生労働省や文部科学省、日本精神神経学会などがWHOの基準を採用し、性的指向を矯正しようとするのは間違いだと表明しました。
なので、同性愛者であるかもしれないことに悩んで病院に行ったとしても、異性愛にしてくれる治療はないのです。(ただ、同性愛者であることに悩んで鬱になったり、ストレスから体調を崩している場合には、その症状に対しての対処はしてくれます。そのような場合は早めに病院を受診してください。)
同性を好きになるか、異性を好きになるかは、自分で選べるものでも簡単に変えられるものではないのです。
もし、あなたがゲイかもしれないと悩んでいたら、決して一人で抱えないでください。
なぜなら、ゲイの男性には、自らがゲイであることを悲観し、ひどい場合には自殺を選んでしまうケースも少なくないからです。
例えば、2005年に宝塚大学看護学部の日高庸晴教授らが厚生労働省エイズ対策研究事業の一環で、ゲイ・バイセクシャル男性5731人を対象に実施された調査によると、65.9%の人が自殺を考えたことがあると回答しています。
ゲイに限らず、人は一人で悩みを抱えて孤独に陥ってしまうことで生きる力をなくしてしまうことがあります。将来への不安も、一人で解決できないことも、あるかもしれません。
そんな時は、一人で悩まずに誰かの力を借りてください。あなたを支えたい、助けたいと思っている人は絶対にいます。
知識を持っていて信頼できる人に打ち明けてみることができれば良いですが、もしリアルの場で話すことに勇気が出なければゲイなどの性的マイノリティ向けの電話相談やインターネットからのメール相談なども存在していますので、利用することも考えてみてください。(いずれも匿名で相談できます)ほんの少しでも良いので、自分の思いを吐き出せる場所を見つけてくださいね。
ゲイであっても、幸せに生きていく道はあります。
現に、パートナーを見つけ、幸せに生きているゲイカップルはいます。また、パートナーはいなくとも、仲間を見つけて穏やかに楽しく生きている人もいます。
異性愛者でも、結婚していて幸せな人もいれば、結婚していなくても幸せに過ごしている人もいますよね。
ゲイでも同性パートナーシップ制度を利用する人もいれば、利用しないでも仲良く暮らしている人もいます。
同性愛者でなくても幸せの形は人それぞれ違っているように、一人ひとりが自分の幸せの形を見つけていくことが大事です。
・ゲイとは「男性同性愛者」のこと
・「性自認が男性」で「好きになる相手の性別が男性」の場合がゲイ
・ゲイがみんなオネエではない
・同性愛は病気ではない
・一人で悩まないことが大事
・どんな自分でも大切に生きることが何より大事