
LGBTについて調べようと検索すると、時々LGBTではなく、「LGBTQ」という言葉に出会うことがあります。
Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーの略ですが、一体「Q」とは何の略なのでしょうか?実は、人の性のあり方にはLGBTだけではなく、さまざまなものがあるのです。
ここでは「Q」の意味やLGBTに加えて表記されている背景についてわかりやすく書いていきたいと思います。
LGBTとは「Lesbian(レズビアン)」、「Gay(ゲイ)」、「Bisexual(バイセクシュアル)」、「Transgender(トランスジェンダー)」の頭文字をとって表したものです。
・Lesbian(レズビアン)は女性同性愛者
・Gay(ゲイ)は男性同性愛者
・Bisexual(バイセクシュアル)は両性愛者
・Transgender(トランスジェンダー)は出生時の性別と異なる性別で生きようとする人
のことです。
どの性別を好きになるか?ということを「性的指向(せいてきしこう)」と言いますが、LとGは同性を好きになる=性的指向が同性に向いている人、Bは性的指向が両性(男性と女性)に向いている人=両性を好きになる人のことを指しています。
また、好きになる相手の性別ではなく、自分の性別をどう感じているか?ということを「性自認(せいじにん)」と言いますが、Tはこの性自認が生まれた時のからだの性別と違っている人のことを指しています。
わかりやすい例としては、
・女性だけど、女性のことが好き→レズビアン
・男性だけど、男性が好き→ゲイ
・男性と女性のどちらも好きになれる→バイセクシュアル
・生まれた時は男性だったけど、女性として生きている→トランスジェンダー女性
・生まれた時は女性だったけど、男性として生きている→トランスジェンダー男性
この5つです。
「L(レズビアン)」「G(ゲイ)」「B(バイセクシュアル)」は好きになる相手の性別を表したもの、「T(トランスジェンダー)」は生まれた時の性別と自分の感じている性別が異なることを表したものです。
生まれた時の性別と性自認が一致していて、性的指向は異性愛だと言う人たちが多い中、この多数の人たちに当てはまらない人たちのことをセクシュアルマイノリティと呼びます。(性的少数者、性的マイノリティとも呼ぶ)セクシュアルマイノリティは略してセクマイと呼ばれることもあります。
LGBTはその中でも、性的指向と性自認の問題で分類わけした時の4つのパターンを表しているということです。
ただ、中には「自分はこのLGBTのどれにも当てはまる気がしない」と感じている人もいます。
LGBTがセクシュアルマイノリティの中の4つのパターンだと書いたのは、この4種類だけでは表すことができない人もいるからです。
世の中では「男性」と「女性」の2つに分けられることが多いのですが、中にはその2つでは自分のことを説明できないと感じている人もいます。
例えば、性自認に関するものだと、
・男性でも女性でもない
・男性でも女性でもある
・男性と女性の中間くらい
・7割男性で、残りの3割が女性
・わからない
という感じ方をしている人もいます。
また、性的指向に関するものだと、
・普段は女性が好きなんだけど、男性に恋愛することもあって、でも男性の体に性的に興味はないんだよね
・男性も女性も好きになったことがあるけど、どちらかというと男性の方が好きで、今は女性には恋愛感情は向かないかも
・性別なんか関係なくて、とにかく好きになった人が好き!決めたくない!
といった人もいます。
これらの人をLGBTに当てはめようと思っても、ハッキリとはわけられないでしょう。
このように、いろんな性のあり方を「男」「女」「LGBT」だけで分けて考えるのは、実は難しいのです。「男」「女」に当てはまらない人も、「LGBT」に当てはまらない人も、さまざまな人が存在しています。
LGBTだけで分けるのも難しいと書きましたが、ではその後ろについた「Q」とは一体なんなのでしょうか?
これは、「Queer(クィア)」もしくは「Questioning(クエスチョニング)」という2つの言葉を表しています。
「Queer(クィア)」とはセクシュアルマイノリティ全般を表した言葉です。
これは、セクシュアルマイノリティでもLGBTに当てはまらない全ての人たちを表すために、LGBTの後ろにクィアがつけられている、ということです。
クィアは元々は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表した言葉でした。
これは、「男」「女」「異性愛」以外のセクシュアルマイノリティは「変態」や「変わり者」だと思われていたからです。
例えば、異性愛ではないレズビアンやゲイやバイセクシュアル、生まれた時の性別と性自認が違っているトランスジェンダー、他にも「男」「女」「異性愛」に当てはまらない人は全て「変態」だとされていたのです。
ですが、これらは全て「異常なことではない」と当事者が自らに誇りを持ち、肯定的な意味を持たせるためにあえて「クィア」という言葉が使用されることが増えました。そして、セクシュアルマイノリティはLGBTだけではないということを示すために、「Q」が加えられたのです。
そして、もう1つの「Questioning(クエスチョニング)」は、自分の性のあり方をハッキリと決められなかったり、迷ったりしている人、または決めたくない、決めないとしている人のことを言います。
これは、性のあり方を「男」「女」の2種類や「LGBT」という4種類に分けた時に、自分がどれに当てはまるのか決めることができない人も存在するということです。
例えば、性的指向でも性自認でも
・自分がなんなのか、ハッキリしていない
・どちらとも言えないし、決める必要もない
・探し中だけど、この状態が心地よいかも
・揺らいでいるけど、これが自然
などという人もクエスチョニングを名乗る場合があります。
クエスチョニングに似た言葉でXジェンダー(男女以外の性自認を持つ人)という言葉も存在します。
必ずしも、分けられる人ばかりではないし、中には分ける必要がない人もいるのです。
このように、「Q」とはLGBTという4つだけでは分けられないセクシュアルマイノリティの人たちだと書きましたが、LGBTQに限らず一人ひとりの性のあり方は本当にさまざまなのです。
「LGBTQの人」、「セクシュアルマイノリティの人」、「そうではない人」と分類せずに一人ひとりが自分の性のあり方を見つめてみたら、みんなそれぞれ違うはずだからです。
例えば、外見がボーイッシュな女性や中性的な男性がいたり、異性愛者だけど時々同性のアイドルが好きだったり、一般的に「男性的(女性的)」だと言われる性格を自分の中に持っていたり・・・とじっくり見つめてみれば、たくさんの性に関するあり方が見えてくるはずです。
このように、100人いれば、100通りの性のあり方があります。性のあり方はマイノリティだけの問題ではなく、みんなの中にあるものなのです。
性の問題で悩んでいる人にとっては「LGBTQ」という用語があることで自分が何者なのかがわかり、安心できることも確かにあります。
「自分がどこに当てはまるのかがわからない」「自分は一人ぼっちなのかもしれない」と感じるのは本当に辛いことだからです。
なので、自分と同じ感覚を持つ人や言葉に出会うことは大きな安心を感じられることでもあります。
ただ、その上で本当に大事なのは、自分や他者の性のあり方を言葉で区別して切り分けることや押し付けあうことではなくて、みんな違っているのが当たり前で、一人ひとりが大切な存在だと感じられることです。
そして、お互いに尊重しあい、共に自然に暮らしていけるようにしていきたいですね。
・セクシュアルマイノリティはLGBTだけではない
・「Q」とは「Queer(クィア)」と「Questioning(クエスチョニング)」の二つの言葉を表したもの
・人の性のあり方(セクシュアリティ)は様々
・言葉で切り分けることより、一人ひとり違って当然だと知ることが大切